だけど絆那さんは直後にふっと、口角を上げた。

「まぁ分からなくても良い。それじゃあ、明日迎えに来るからな。また明日な。」

「は、はいっ……!」

 笑みを残していった絆那さんを見送ってから、はぁ……と息を吐く。

 今日はたくさん、絆那さんの笑った顔見た気がする……。

 男の人の笑う表情自体あまり見た事がないから、やっぱり慣れない。

 ……でも。

「絆那さんと出会えて、良かったかも……。」

 きっと、この人生の中で絆那さんみたいな人と会う確率は限りなく低い。

 私を、あんな風に考えてくれる人も……。

 私は絆那さんのことを好意的に思っているけど、それは友達として。

 告白してくれた絆那さんを悲しませる事だけは、したくない。

 曖昧にするのも、はっきり否定してしまうのも。

 私……絆那さんのこと、どう思っているんだろう。

 好きだと思っている……ううん、思い込んでいるだけかもしれない。

 そんな可能性もあるから、はっきりとはどう思っているか結局分からないまま。