「えっとね……実は昨日、男の人二人に話しかけられちゃって……」

「はぁ……っ!? それ、本当なの!? 大丈夫だったの!?」

「う、うんっ……絆那さんが助けてくれたから、大丈夫だったよ!」

 美月ちゃんは念押しするように「気を付けて。」って言ってたから、少しだけ言いづらかった。

 でも、心配してくれているんだから……黙ってちゃ、ダメだよね。

 自分自身にそう言い聞かせ、私のことを揺さぶってくる美月ちゃんを何とか宥めた。

「よ、酔っちゃうっ……美月ちゃん、止まってっ……!」

「……あっ、ごめんね和凜! つい和凜に絡んだ輩と天狼への怒りでどうにかなりそうだったわ。」

 申し訳なさそうな声色が後ろから聞こえてきて、それでどれだけ心配させてしまったのかが痛感させられた。

 私は美月ちゃんみたいに強くないから、対抗ができない。

 誰かに助けてもらうしか、できない弱い子なんだ。

 ……ううん、こんな暗い事ばかり考えててもダメだ。ちゃんと話さなきゃ。

 美月ちゃんを心配させてしまったから、私には全て話す義務があるよね。