「か~り~ん~? 天狼と何があったのか、きっちり教えてくれないかしら~?」

「え、ええっと……」

 絆那さんと別れてから、五限目の授業を終えた。

 次で今日最後の授業だから、うっかり寝ちゃわないように意気込もうと張り切った時の事。

 授業準備が終わるや否や、何か裏がありそうな表情の美月ちゃんに引き留められた。

 しかも、椅子に座っていたらがっちりとホールドされて。

 ……簡潔に表したら、美月ちゃんが私をバックハグしているんだ。

「こ、これはどういう状況なの……?」

「そんなのもちろん、和凜が逃げないようにする為に決まってる。ほら、昨日の事とさっきのお昼の事、洗いざらい話して!」

「い、勢いが凄いよ美月ちゃんっ……!」

 押しに弱い私は、美月ちゃんの強い語気に抵抗する事ができない。

 何を話せばいいのか、どういう事を言えば美月ちゃんは満足してくれるんだろう……。

 次の授業まで時間がたくさんあるわけじゃないから、話すにしても簡潔にしなきゃ。

 頭の中でまとめながら、覚束ない言葉で私は繋ぎ始めた。