独占欲強めの最強総長、溺愛は盲目なほど。

 和凜に近付こうしている輩は、とりあえず威嚇しておく。

 俺がいる時はまだ大丈夫だが、昨日みたいに一人だと……心配だ。

 和凜はこんなにも可愛らしく小さいから、男一人だとしても丸め込まれてしまう。

 詐欺とかにも、引っかかりそうだしな……。

 もう少し、和凜に警戒心を持たせる方法は何かないか……。

 悶々と考えを巡らせ、唸り始めた時だった。

「天狼……っ!」

 近くから怒気が含まれた声が聞こえたと思ったら、和凜がふっと消えた。

 それに反応して声のしたほうを見ると、鬼の形相をしている女と目が合った。

 あー……もう教室着いてたのか。

 少しばかり考えすぎたからなのか、着いている事に気付かなかった。

 和凜とは一秒でも長く居たいが……致し方ない、か。

 だが……こいつに、言っとかないとな。

「和凜、こっち来い。」

「? ……分かりましたっ。」

「あっ……ちょ、和凜!」

 状況も何もかも分かっていないらしい和凜を呼び寄せ、華奢なその腕を掴む。

 その次の瞬間に、和凜の肩を抱いて自分のほうに引き寄せた。