「あれ、今日は早いんだね、和凜。」

「わっ……美月ちゃん、おはようっ！」

「おはよう……なのは良いけど、どうしてそんなに驚いてるの？」

　突然背後から、美月ちゃんに声をかけられて驚いてしまう。

　た、確かにオーバーリアクション過ぎたよね……あはは。

　その原因が昨日の絡まれ事件とは、絶対言えないけどっ……。

「ごめんね。ちょっと驚いちゃっただけなんだ。」

「……そう？　なら良いんだけど。」

「そ、そうだよっ……！」

　念を押すようにもう一度言うと、美月ちゃんは腑に落ちないような表情を浮かべながらも分かってくれた。

　隠してるのは申し訳ないけど、美月ちゃんに心配かけたくない。

　それに過ぎた事だから、言う必要もないよね。

　その直後はいつもの恒例だというように、美月ちゃんの舎弟さんたちに挨拶をされた。

　相変わらず勢いが良くて、羨ましいなぁ……。

「あいつら、いつもうるさいよね。ごめんね、和凜。」

　美月ちゃんは気遣ってそう言ってくれるけど、私はそうは思わない。