独占欲強めの最強総長、溺愛は盲目なほど。

「ふふっ、本当に和凜は良い子ね。ありがとう。」

 良い子なんて……私、お母さんが思ってるほど良い子じゃないよ。

 家事くらいしかできないし、たまに夜更かしだってしちゃう。

 勉強も運動も中の下くらいだし、大して凄いところもない。

 それなのにお母さんはいつも、私を“良い子”と言ってくれる。

 自分では未だどこが良い子なのかさっぱり分からないけど、お母さんの役に立てられたらそれでいい。

 お母さんのこと、大好きだからっ……!

 あっ、もちろんお父さんのことも大好きだけどっ……。

「お母さん、早くご飯食べちゃおう! もうできてるから、一緒に食べようっ!」

「もちろんよっ。和凜のご飯、美味しいから早く食べたいわ。」

「ありがとう、お母さんっ。」

 時計に目を走らせ、お母さんにそう声をかける。

 階段から落ちたお母さんだけど、この様子なら大丈夫そう。

 お母さんが元気なら、それでいいからっ……。

 私はそう思いながら、さっき中断した朝食運びを再開した。



「はい、これお弁当! 今日はお母さんの大好きな、ハムぐるぐる卵焼き入れてるからね!」