「……やっぱ、か。」

 頭では分かっていたつもりだがそう改めて言われると……イラっと来るものがある。

 どす黒い感情が沸き上がってくるようで、耐えきれず舌打ちをした。

 それを聞いたそいつが、電話越しに呆れた息を吐きだす。

《で……何そんな苛立ってるの? 絆那が苛立ってるの、珍しいんじゃない? というか、初めてかも。絆那も苛立ったりするんだね、おもしろ。》

「……和凜のクラス、教えてくれ。」

《しかも名前呼び捨てか……ふはっ、やっぱり面白い事になってるね。総長ともあろう絆那が、一人の女子に振り回されてんの面白すぎてヤバい。》

「いいから教えろ。」

 絶対こいつ面白がってるだろ……。

 こいつの言ってる事は否定しようもないぐらい本当の事だが、何もそこまで面白がる必要はないだろ。

 何が面白くて言ってるのか、俺には分からない。

《分かってるよ。ま、何かあったらまた随時教えて。》

「……お前には言わない。」

 からかっているような声色で言ってくるそいつに、吐き捨てるように言う。

 勝手にクラス知るのはどうかと良心が抗っているが……呑気にしていられるわけがない。