独占欲強めの最強総長、溺愛は盲目なほど。

 名字で呼ばれただけなのに、こんなにも破壊力がある。

 そこで俺は、やっぱりなと感じてしまった。

 ……何が何でも和凜を俺のものにする、って。



「きょ、今日は本当にありがとうございました!」

「それじゃ、な。」

「は、はいっ……!」

 和凜の家の前まで送り届け、踵を返して帰ろうとする。

 その道中、俺は電話をかけた。

「もしもし。」

《絆那? そっちから電話してくるなんて、珍しいね。》

 あぁ……まぁ、そうだな。

 俺からこいつに電話は滅多にしないから、相手は訝しんでいる。

 俺はそれを気にせずに、用件を伝えた。

「お前さ、咲城和凜って知ってるか。」

《…………はい? ちょっと待ってよ。絆那から女子の名前が出るとか……え? 天変地異でも起こるの? あれ、世界終わる……? 俺、まだ死にたくないんだけど。》

 何言ってんだ、こいつ。

 あからさまに動揺しているそいつに呆れるように、俺は早々に本題に入った。

「起きねぇし終わらないし死なねぇし。知ってるかって聞いただけだろうが。」

《まぁそうだけどさ……一応知ってるよ。俺らの一個下で、校内のマドンナ的存在の咲城和凜ちゃんでしょ?》