独占欲強めの最強総長、溺愛は盲目なほど。

 俺の言葉であからさまに驚いてしまった、和凜。

 その姿に、ある言葉が脳裏を駆け回る。

 いや、どっちかというと……感情って言うほうが正しいか。

 “可愛い”

 ……っ、俺は本当にどうしてしまったんだ。

 改めて思い直すと、やっぱり疑問が浮かぶ。

 可愛いとか思う事、これまで一切なかった。

 それなのに簡単にこう思うとは……自分の感情が、よく分からない。

 同じように自問自答していた時、訳が分かっていない様子ながらも和凜は答えてくれた。

「は、はい。そうですけど……」

「なら、俺が送ってっても良いか? また絡まれたら、心配だ。」

 何を焦っているのか、口早に放たれた言葉。

 ほんの一瞬肩を揺らした和凜は、ぱちぱちと瞬きを繰り返している。

 それだけなのに……俺の心臓はずっとうるさかった。

「で、でも天狼さん、良いんですか……? 私なんかに、構ってて……。」

 どういう事だと言いたいのを抑えて、小さく息を吐いた時。

 同時に和凜の心配そうな声が聞こえて、急いで顔を見直す。