独占欲強めの最強総長、溺愛は盲目なほど。

 小さな体を小刻みに揺らし、じっと俺を見つめてくる。

 ……何か、意外。

 そう思ったのは、こいつの反応から。

 俺の喧嘩を直接見たのに、腰を抜かしていない。

 媚びってくる様子も見えないし、怯えているものの瞳には嬉しいといったような感情が読み取れる……気がした。

 ……って何で俺、こんなに揺れてんだよ。

 女を見ただけなのに、自分が自分じゃないみたいに変になる。

 自分の心に自問自答していると、大きな声でこんな言葉が聞こえた。

「あのっ……助けてくださって、ありがとうございましたっ……!」

 ……っ。

 花が咲き誇るような笑みを浮かべたそいつに、電撃が走る。

 冗談抜きで心臓が撃ち抜かれた気になり、一瞬呼吸の仕方を忘れた。

 どうして俺、こんなに心臓が鳴ってんだ……っ。

 痛いくらいに脈打つ心臓が治まらず、ため息を吐きたくなる。

 その直後に俺は、何かに導かれるようにしてこんな言葉を口にしていた。

「お前さ……名前、何て言うんだ。」

「え、えっと……私は咲城和凜です!」