この辺りは俺の管轄内でもあるから、勝手な輩に暴れられると困る。

 しかも男二人に女一人って、どういう事だよ。

 大方、男のほうが女にダル絡みしてるんだろうけど。

 はぁ……とため息を吐いて、そいつらの間に割って入る。

 正確には、男を吹っ飛ばしたんだけど。

「……うるせぇ。」

 とりあえず蹴りを入れておいて、見える範囲で飛ばす。

 それを見たもう片方の男が、面白いくらい顔を真っ青にさせた。

「お前……まさか、天狼……っ!」

 何だ、俺のこと知ってんのか。

 なら話が早いな。

「知ってるんならさっさと行け。邪魔になる。」

「ひっ……!」

 ドスを利かせた声で言うと、男は情けない声を洩らした。

 吹っ飛んだ男を担いで、慌てて去っていくそいつが滑稽だった。

「凄い……かっこ、いい……。」

 その時、俺の耳に小さな声が聞こえた。

 か細いようで、芯が通っている。言うなれば、小鳥のさえずりのような声だ。

 その声に反応するように、女のほうに向く。

 それと同時に、少しだけ怯えているような少女が目に入った。