いつの間にか腰に手が回っていて、逃げようにも逃げられない。

 ……も、もう息がっ……!

 そう思った瞬間、唇が離された。

「絆那、さんっ……外は、恥ずかしいです……っ。」

「……そうだよな、悪かった。」

 外なんて、誰に見られてるかも分からないのに。

 表面上はそうだけど、心の中はそうじゃなかった。

 ……嬉し、かった。

 そんな感情に思いを馳せていると、それを察したのか絆那さんは。

「……今度は家で、甘やかすぞ。」

「っ……!」

 どういう事ですかと聞こうとしても、思うように声が出なかった。

 だけど私の心を読むなんて、やっぱり絆那さんは私のことを分かってくれてるのかな……なんて。

 再び握られた手は、瞬時に指を絡められて。

 恋人繋ぎともいえる繋ぎ方に私は再びドキドキしながら、この幸せを噛み締めて。

「大好きです、絆那さん。」

「……俺も、大好きだ。」

 沈んでいく夕日と共に、ふっと微笑み合った。

 【FIN】