その時、背後から誰かに声をかけられた。

「あの、和凜さん!」

「ふぇ?」

 び、びっくりした……。

 急に名前を呼ばれ、振り返ってみると視界には数人の女の子が入った。

 ん? どうしたんだろう?

 どうして呼ばれたのか見当がつかなくて、首を傾ける。

 ……そうした、だけだったのに。

「うっ……! 和凜さん、めちゃかわだろ……っ。」

「それな……! マジ心臓ヤバいっ……。」

「待てお前ら、用件を忘れるなぁっ……!」

 え、ええっと……?

「だ、大丈夫ですか……?」

「「「グハッ!!!」」」

 こ、これ本当に大丈夫、なのかな……?

 ただ尋ねただけなのに、心臓を押さえ始めた女の子たち。

 だけど私は、この人たちに見覚えがあった事を思い出した。

 あっ、もしかして……。

「あんたら、和凜に寄ってたかってさぁ……何してんの? 馬鹿してるの?」

 思い出して手を打った瞬間、美月ちゃんの威勢の良い声が飛んでくる。

 美月ちゃん、ナイスタイミングだっ……!

 確かこの人たちは美月ちゃんの暴走族の舎弟さんたちで、私も一度は見た事があったはずだ。