だけど、こんなところで弱音は吐けない。

　それに私は、ずっと絆那さんのお荷物になっていたはずだ。

　だからこれはちょうどいい機会で、後悔する事なんてないはず……。

「ごめん、なさい……っ。」

　……だったのに。

　自分の気持ちには抗えなかった。

　我慢しようにも、溢れ出した気持ちは止まってはくれない。

　タカが外れたように“好き”という気持ちが溢れてやまない。

　絆那さんを引き離さなきゃならないのに、私の心はそれを拒んでいる。

　その証拠に、私はぎゅっと絆那さんの服の袖を掴んでしまっていた。

「私、絆那さんに酷い事言いました……っ。だから、私は抱きしめられる資格なんてないんですっ……。」

　どれだけ懺悔しても、しきれない。

　それなのに、もう絆那さんを突き放したくないと私の心は訴えていた。

　さっきよりも溢れてくる涙を一生懸命拭いながら、どうにかして離れようと試みる。

「そんな事、考えなくていい。」

　けどそれを遮ったのは、絆那さんだった。

　背中に回された腕はさっきよりも強く、私を抱きしめている。