そのせいで、会長はあたふたと慌てている。

 うぅっ……会長はある意味馬鹿なのかもしれない。

 ……絶対、本人には言えないけど。

「……マジで泣き止んでくれ。この絵面だと、俺がお前を泣かせたみたいに――」

「和凜……っ!」

 会長が言葉を言っている途中、その時。

 焦りと心配と怒りを含んだような声が聞こえ、同時にバンッという鈍い音で扉が開けられる。

 聞き慣れすぎてしまった、心地の良い声。

 ……その声の主は、やっぱり。

「絆那さんっ……。」

 大好きで会いたくて仕方がなかった、絆那さんだった。