…………は?

 何、言ってるんだ……?

 今すぐ、そう言いたかった。

 言葉の真理を、すぐ確かめたかった。

「……和凜。」

 だが言えたのは、そんな情けない名前を呼ぶ声だけ。

 それ以上は喉に言葉が詰まって、言えなかった。

 関わらないで。しばらくっていつまでだ?

 一週間? 一か月? 一年?

 ……もう関わるな、なのか?

 分からない。分かりたくない。

 嘘だ。和凜がそう言うなんて、間違ってる。

 俺が何かしてしまったか? 何か和凜が嫌な気持ちになるような事を、してしまったか?

 そんな俺の問いに答えるように、和凜が言葉を紡ぎ出す。

「私、よく考えたんです。絆那さんにずっと頼りすぎてて迷惑かけてて……だから、しばらく距離を取りましょう。」

 ……違う、これは和凜の本心じゃない。

 迷惑なんて考えなくていいと言いたかったが、何かが違った。

 和凜自身が……これほどなまでに、辛そうな顔をしていたから。

 苦しい、悲しい、辛いといった感情が混じったような表情。