「和凜は居るか?」

 いつも通り、昼休憩になり和凜を呼ぶ。

 教室の後ろ扉で声をかけると、急いでこっちに来てくれた和凜。

「お、お待たせしましたっ……!」

 ……その時、ある違和感を覚えた。

 視線を、合わせてくれない。

 些細な事だと思われるかもしれないが、和凜はいつも視線を合わせてくれる。

 合わせてくれない時は恥ずかしがっている時か……何か悩んでいる時だ。

 もしかして恥ずかしがっているのか?とも思ったが、どうも違う。

 和凜ってこんな、愛想笑いする奴だったか……?

 俺の前では心の底から笑ってくれる和凜だから、余計にそう思った。

 偽っているような、何かを必死に隠しているような違和感のある笑み。

「大丈夫だ。行くか。」

「はい……。」

 和凜が触れてほしくなさそうだからあえて何も言わないが、やはりどことなく様子がおかしい。

 返事だって、いつものような元気がない。

 まさか、体調が悪いのか……?

 今朝までは普通だったから、その線は無きにしも非ずだ。