ごめんなさい、ごめんなさい……っ。

 絆那さんの声が届いていないふりをして、走って屋上を出る。

 そのまま階段を駆け下り、階段の影でうずくまった。

「……っ、うぅっ。」

 私、最低な事しちゃった……っ。

 絆那さんは今まで私に優しくしてくれたのに、私は全て無下にしてしまった。

 ごめんなさい、絆那さんっ……。

 これで満足ですか、会長。

 会長が何を思って私に言ったのかは予想できないけど、これでいいんですか?

 これ以上私は、絆那さんを傷つけたくありませんっ……。

「きずな、さんっ……。」

 情けない声を洩らし、階段の影で一人泣く。

 いくら拭っても、とめどなく落ちてくる雫は雨のようで。

 ……私の心はそれ以上に、荒れていた。