……言って、しまった。

 絆那さんのほうを見られなくて、視線を下に向ける。

 何、言われちゃうかな……。

 嫌いって、失望したって……言われる、かな。

「……和凜。」

 いつもより低い声、そして震えている声。

 そんな絆那さんの声が聞こえるけど、ここで揺れちゃダメだ。

 頑張らな、きゃ……っ。

「私、よく考えたんです。絆那さんにずっと頼りすぎてて迷惑かけてて……だから、しばらく距離を取りましょう。」

「……そう、なのか。」

 つら、すぎる……っ。

 心臓が締め付けられるほど苦しくなってきて、息が思ったようにできない。

 いたたまれなくなった私は思わず立ち上がり、踵を返した。

「急にこんな事言ってごめんなさい。でもしばらくは、送り迎えもなしにしてください。私に、関わってこないでくださいっ……。」

 やっぱり、絆那さんの顔が見れない。

 今、絆那さんはどんな表情をしているんだろう。

 それを考えるのも、今はできない。

 頭が回らなくなってきて、考えるより先に体が動いていた。

「か、りん……っ。」