「何言ってるんですか、先生。私が可愛いなんてあるわけないですよ。それじゃあ、先生も気を付けて帰ってくださいね。」

「ほ、本当に大丈夫なの……?」

「はいっ! 心配してくださってありがとうございます。先生、さようならっ。」

 先生はお世辞が上手いなぁ……なんて考えながら、昇降口で靴を履き替える。

 その時、脳裏に美月ちゃんの言葉がよぎった。

『変な人に絡まれても相手にしない事。もしあっちが強引に来るようなら、急いで逃げるか大声出して。』

 変な人って……もしかして、気が強い人の事なのかな?

 うーん……気が強いのは良い事だけどこの学校の事だから、きっと怖い人なんだよね。

 とりあえず、気を付けて帰ろうっ……!

 美月ちゃんに言われた通りに、何かあれば急いで逃げようっ!

「……あ、でも私……」

 だけどそう考え着いた後に、はっとある事を思い出した。

 私、巻き込まれ体質なんだよね……。

 幼い頃からいつの間にか変な人に声かけられたり、厄介事に巻き込まれたりしていた。

 喧嘩を止めようとしたらあっという間に喧嘩の渦に入っていたり、女の子からいじめられちゃったり……。