独占欲強めの最強総長、溺愛は盲目なほど。

 平常心、平常心……っと。

 何度も自分に言い聞かせ、心臓を落ち着かせる。

「和凜……?」

 平静を保つのに必死な私に、絆那さんの不思議そうな声はその場に溶けて消えていった。



 その後は特に何もなく、無事学校についた。

「それじゃ、また昼な。」

「はいっ。」

 絆那さんと言葉を交わし、教室へと向かおうとする。

 そういえば、美月ちゃんはどこだろう……?

 この時間なら来ているはずだけど、どうしたんだろう。

 まだ来てないだけ? それとも、何かあったんじゃ……。

 悶々と考えながら美月ちゃんの靴があるか確認したけど、下駄箱には美月ちゃんの上靴があるだけだった。

 あれ? まだ来てないんだ、珍しいなぁ……。

 美月ちゃんは遅刻を嫌うから、いつも他の人より早いこの時間帯に来るはず。

 やっぱり、美月ちゃんに何かが……?

 そんな憶測が現実味を帯びてきて、けれど首を横に振る。

 いや、美月ちゃんに限ってそんな事……ない、はず。

 うん、不吉な事考えるのはやめよう。私のフラグ建築は狙ってるのかってくらい当たるから、余計な事を考えないようにしなきゃ。