「ボコボコ……そんな事、ないと思いますけど……。」

 ありそうなのが、怖いなぁ……。

 私は見た事ないけど、もしかしたら怖い人がいるのかもしれない。

 だったら先生より私のほうが、すぐにボコボコにされちゃうっ……。

 一人でそう考えて怖くなっていると、はっと思い出したように先生が声を上げた。

「というか、こんな時間まで付き合わせちゃってごめんね……! お家まで送っていくから、一緒に行きましょう?」

「えっ……そんなの悪いですよ! 私、一人で帰れますっ!」

 確かに外はもう真っ暗だけど、まだ大丈夫。

 方向音痴ってわけでもないし、帰れないほどじゃない。

 どっちかというと、先生のほうを早く帰らせたほうが良い。

 だって……。

「先生、今日は早く帰って休んでください! 隈、気付いてないかもしれないですけど、凄く濃いですよ……!」

「あ、あはは……最近眠れてなかったから、かもしれないわね。でも、咲城さんに何かあったほうがダメよ。咲城さん可愛いから、すぐ襲われちゃうわ。」

 か、可愛い……?