独占欲強めの最強総長、溺愛は盲目なほど。

「お母さんったら……。」

 恥ずかしさに苛まれていた私と、余裕そうな絆那さん。

 そんな私たちに店員さんの会話は聞こえてこなかった。



「ごめんなさい、お金出してもらっちゃって……。」

「これくらいはさせてくれ。元々は俺が誘ったんだからな。」

「あ、ありがとうございますっ!」

 喫茶店のスイーツを堪能した後、お会計を済ませて帰路につく。

 ケーキもココアも、とっても美味しかった……。

 幸せ気分に浸りながら、家へと歩を進めていく。

 結構な時間が経っていたのか、もう外は真っ暗だ。

 うっ……ちょっと怖いかも……。

 街灯は点々とあるものの、真っ暗だから少し足がすくみそうになってしまう。

 気を抜いたら、絆那さんを見失っちゃいそうだっ……。

 そう思って何とか気を紛らわせるも、怖さが消えるわけじゃなく。

「……どうした、和凜?」

「あっ……ご、ごめんなさいっ。」

 絆那さんに名前を呼ばれて、はっと我に返る。

 わ、私ってば……何やってっ……!

 気付けば私は絆那さんの服の袖を掴んでいて、慌てて離した。