「ごめんね、咲城さん。こんな遅くまで手伝ってもらっちゃって。」

「いえっ……! 役に立てて嬉しいので、全然大丈夫ですよ!」

 先生の言葉に、慌てて首を横に振る。

 先生の切羽詰まった顔の原因は、大量の資料綴じだった。

 次の授業で使う物らしく、本当は学級委員長に頼む予定だったらしい。

 でもこの学校はなんせ、裏で不良校と言われている。

 騒ぎは起こさないと言っても、不良で気が強い生徒が多い。

 一度頼んだらしいけど、先生が威圧に負けて泣いちゃったらしい。

 だけど、きっと仕方がないんだと思う。

 だから、たまたま視界に入った私に縋りつくようにお願いしてきたというわけだ。

 私の言葉に、先生は眠そうにしながらも微笑んだ。

「ふふっ、本当に咲城さんは優しいのね。この学校は不良さんたちが多いから、咲城さんみたいな優しい人がいて助かるわ。咲城さんがいなかったら私、この学校やめちゃってると思うからね。」

「そ、そこまでですか……?」

「本当よ。ここの生徒は気が強いから、私なんかすぐにボコボコにされちゃうわ。」