けれどそれを阻止するように、絆那さんの凛とした声が届く。

 真剣な瞳に強く見つめられて、はっきりとこんな事を言われて。

 「だけど」なんて言えなくなってしまった。

「俺のこと、嫌いになったか……?」

「! そんなわけありませんっ!」

 どうして嫌いになるんだろう、こんな素敵な人を。

 嫌ってって言われても、嫌えない自信があるのに……。

 ……絆那さんは、自己肯定感が低い。

 だから、こんなにも優しくて思いやりがあって、心が温かい人なんだ。

 ふわふわと、温かいぽかぽかした気持ちに苛まれる。

 私のその返事を聞くや否や、嬉しそうに微笑んだ絆那さん。

 その途端、私の心がぎゅっと揺さぶられたような気がした。

 気のせいだとは思えないほど、強い衝撃。

 ……?

 初めての感覚だから、頭にはてなを浮かべるしかできない。

 それでも、今は。

「それなら良かった。」

 この絆那さんの笑顔を、私なりに守りたいって思った。