美月ちゃんを疑うわけじゃない、けど……。

 もしかしたら言いにくい事なのかもしれない、そう考えて気にしないようにする。

 気になっちゃうのは、もう無視しようっ……!

 気にならないふりをすれば、何とかなるかもしれない。

 少し考えた末、そんな考えに至った私。

 それと同時に、美月ちゃんの驚いたような声が響いた。

「やばっ……ごめん和凜。教室先に行ってて、ちょっと忘れ物しちゃった。」

「そう言う事なら待ってるよ?」

「待ってたら和凜まで授業遅れちゃうよ! あたしのことは気にしないで良いから、先行ってて!」

 分かった、と返事をする前に、美月ちゃんは踵を返して戻ってしまった。

 待っていたい、けど……次の授業は遅れたくない。

 次の授業の先生、厳しくて怖いもん……。

 美月ちゃんもああ言ってくれたから、お言葉に甘えて先に行かせてもらおうかな。

 きっと美月ちゃんなら、すぐに戻って来れると思うしっ……!

 うんうんと一人で納得して割り切り、先を急ぐ。

 早く行かなきゃ、チャイム鳴っちゃうから急がないと……。