ぼんやりと考えながら、歩を進める。

「あ、そういや和凜。」

　その時、隣から美月ちゃんから名前を呼ばれた。

　突然の事だったから一瞬反応が遅れるも、頭にはてなを浮かべながら美月ちゃんに尋ねる。

「どうしたの？」

　何かあったのかな？

　不思議に思いながら聞いてみると、美月ちゃんは少しだけ不安そうな表情へと変わった。

「最近はずっと天狼といるでしょ？　天狼に変な事されてない？　大丈夫？」

「うんっ！　絆那さんすっごく優しくて素敵な人だから、そんなに心配しなくても大丈夫だよ！」

「……そうならいいの。変な事聞いちゃってごめんね。」

「ううん、心配してくれてありがとうっ！」

　本当、美月ちゃんって気が回るなぁ……。

　そういうところ見習わなきゃ、と感心してしまう。

　私のお姉ちゃんみたいな存在で、大切なお友達。

　……でもそんな美月ちゃんがさっき、不安そうな表情をしていたのは別の意味もあるような気がした。

　私の独自判断だから本当にそうだとは言えないけど、何となく……何かがあるような気がしている。