独占欲強めの最強総長、溺愛は盲目なほど。

　ううっ、それはそれで不甲斐ないっ……。

　そう思って一人悲しくなっていると、突然美月ちゃんの舎弟さんが美月ちゃんに声をかけていた。

「あの、美月さん！」

「何？　もしかして、何かあった？」

「それが……あたしも詳しくは分からないんですけど、最近この辺りでガラの悪い不良が暴れてるらしくて。これ、族全体に伝えたほうがいいんですかね？」

　ガラの悪い……？

　何だか不穏な言葉が聞こえて、ぴくっと体を動かす。

　その言葉に美月ちゃんは、呆れたように息を吐いた。

「そうなの？　だったら族全体に通達して、警戒を高めておくように言っといてくれる？　こっちでも言っとくからさ。」

「分かりました！」

　舎弟さんは大きく頷いて、踵を返してどこかに行ってしまった。

　責任感が強い舎弟さんを見送っていると、美月ちゃんが何やら呆れたように息を吐いていた。

「はぁ……面倒な事になってるわこりゃ。和凛、そういう事だから帰りは気を付けて。送っていけたら一番良いんだけど、今日は生憎外せない用事が入ってるからね……。」