魔法のいらないシンデレラ【書籍化】

やがて総支配人室に夕食が運ばれてきた。

瑠璃は早速ダイニングテーブルに食器を並べていく。

「一生さん、どうぞ」

準備が整うと一生に声をかけて、テーブルにうながす。

一生が腰を下ろすと、瑠璃は部屋の照明をぐっと落とした。

ツリーの煌めきが、より一層鮮やかに浮かび上がる。

一生は立ち上がり、瑠璃の椅子を引いて、どうぞと微笑んだ。

お互い席に着いて向かい合うと、なんだか急に照れてしまい、ぎこちなくなる。

まずは乾杯しましょうと言って、一生は瑠璃のグラスにシャンパンを注ぐ。

「メリークリスマス!」

グラスを合わせてから、瑠璃はゆっくりと口をつけた。