迎えのリムジンが到着すると、三人は揃って麗華を見送りに出た。

麗華は、はにかんだように笑って、三人にペコリと頭を下げる。

「色々、ありがとうございました」
「いえ。またのお越しをお待ちしております」

一生が総支配人らしくそう言うと、麗華は急にいつもの真顔になった。

「一生さん。私、あなたとは結婚出来ません。諦めてください」
「…は?」

そして隣の早瀬の前に立つと、ポンポンと肩を叩く。

「早瀬…まあ、健闘を祈る!」
「…は?」

最後に麗華は、瑠璃と向き合った。

「早く結婚しなさいよね!私、あなたを手本にするんだから、先に結婚してもらわないと困るの!」
「…は?」

「じゃあねー!」

後ろ向きに手を振ると、麗華は車に乗り込み、あっという間に見えなくなった。

三人は、お辞儀も忘れて呆然とする。

「…プロポーズした覚えもないのに断られた」
「…呼び捨てにされた上に、同情された」
「…早く結婚しろなんて、親にも言われたことないのに」

三人とも、パチパチと瞬きしながら、しばらくは現実に戻れず立ち尽くした。