魔法のいらないシンデレラ【書籍化】

だが、11時になっても何の連絡もなかった。

瑠璃はいよいよ、居ても立ってもいられなくなる。

「早瀬さん、内線電話かけてもいいですか?」

早瀬が一生を見ると、一生は頷いてみせた。

「うん、かけてみよう」

瑠璃は、手早くロイヤルスイートの番号を押す。

しかし、呼び出し音が鳴り続けるだけだった。

「私、部屋に行ってみます」

瑠璃がそう言うと、一生も立ち上がった。

「俺も行く。早瀬、マスターキーを」
「かしこまりました」

三人は、急いでロイヤルスイートに向かう。

瑠璃はチャイムを押しながら、ドアをノックする。

「麗華様、早乙女です。いらっしゃいますか?」

何度声をかけても返事はない。

三人の間に、緊張感が走る。