魔法のいらないシンデレラ【書籍化】

「おはようございます」

次の日の朝、9時前に総支配人室に入ると、一生と早瀬はすでにデスクに向かっていた。

「おはよう。瑠璃さん、夕べ遅かったんだから、もっとゆっくりしていても良かったのに」

早瀬の言葉に、瑠璃は笑う。

「いえ、それが。オフィス棟に泊まったので思いがけず時間がたくさんあって。8時間も寝ちゃいました」
「そう?それならいいんだけど」
「それより、麗華さんは?」
「ああ、まだ寝てるみたい。起きたらこちらにいらっしゃるだろうから、ここで仕事しながら待っていればいいよ」
「はい」

しかし、10時になっても麗華は姿を現さない。

「大丈夫かしら…」

瑠璃は少し心配になってくる。

「そうだね、確かにいつもよりは遅いけど。若い人って、夜ふかしして、お昼まで寝てたりするしね」
「ええ。そうですね…」