「なんでよ。なんでなのよ。私達はお嬢様なのよ?仕事なんてしなくていい。一生お金に困らないで生きていけるのよ。それって幸せなことでしょ?なのになんで私はっ!」
フォークを何度もケーキに突き刺す麗華の右手を、瑠璃が自分の手を載せて止める。
「ねえ、言ってよ!仕事するなんて不幸だって。ちっともおもしろくないって。働いたっていいことないって。でないと私、何を信じたらいいのよっ!!」
今にも泣き出しそうな麗華の叫び声を、瑠璃は静かに受け止めていた。
麗華の左手を両手で握り、ゆっくりと話し出す。
「ええ、そうですよね。仕事しても幸せだとか、楽しいとか、私も思ったことはなかったです。半年前までは」
視線を落としたまま、瑠璃は続ける。
「親の決めた相手と結婚する、それが私の幸せなんだってずっと思ってました。一生お金に困らずに生きていける、そのことに感謝しなければ、幸せだって思わなければって。でも本当は、苦しかったです。そしてそんな弱い私の態度で、相手を傷つけてしまいました」
麗華は、黙って瑠璃の話を聞いている。
フォークを何度もケーキに突き刺す麗華の右手を、瑠璃が自分の手を載せて止める。
「ねえ、言ってよ!仕事するなんて不幸だって。ちっともおもしろくないって。働いたっていいことないって。でないと私、何を信じたらいいのよっ!!」
今にも泣き出しそうな麗華の叫び声を、瑠璃は静かに受け止めていた。
麗華の左手を両手で握り、ゆっくりと話し出す。
「ええ、そうですよね。仕事しても幸せだとか、楽しいとか、私も思ったことはなかったです。半年前までは」
視線を落としたまま、瑠璃は続ける。
「親の決めた相手と結婚する、それが私の幸せなんだってずっと思ってました。一生お金に困らずに生きていける、そのことに感謝しなければ、幸せだって思わなければって。でも本当は、苦しかったです。そしてそんな弱い私の態度で、相手を傷つけてしまいました」
麗華は、黙って瑠璃の話を聞いている。



