魔法のいらないシンデレラ【書籍化】

瑠璃がろうそくを吹き消したあと、一生は、チョコレートできれいな模様が描かれたプレートに、ケーキを切り分ける。

「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。わあ、すてき!」
「今、紅茶を淹れるね」
「あ、私がやります」

カウンターの裏側へ行く一生に、瑠璃もついて行く。

え、いいよ、座っててと言われても、瑠璃は気にせずポットに茶葉を入れてお湯を注ぐ。

ティーカップをお湯で温め、ミルクも少し温めてから、トレーに全て載せてテーブルに戻る。

じっくり茶葉を蒸らしてからティーカップに注ぐと、一生の前にソーサーとミルク、砂糖を置いた。

「どうぞ」
「ありがとう」

ひと口飲んで、美味しいと頷いた一生は、瑠璃を見ながら感心したように話す。