魔法のいらないシンデレラ【書籍化】

「こ、これは…」

目の前には、ろうそくが立てられたホールケーキ。

そしてプレートに書かれた文字は…

『Happy Birthday!R U R I 』

(え、ど、どうして…)

驚きすぎて言葉が出てこない。

「こんな大事な日に、君をこんな所に留まらせてしまって申し訳ない。ささやかだが、お祝いさせて欲しい」

そして一生は、瑠璃に優しく微笑みかける。

「お誕生日おめでとう!瑠璃さん」
「あ、ありがとう、ございます。あの、私、びっくりして…」
「さあ、ろうそく消して」
「は、はい」
「あ、その前に願い事して」
「は、はい。お願い事…」

目を閉じて両手を組む。

(どうかどうか…)