魔法のいらないシンデレラ【書籍化】

一生の視線にドキッとしつつ、瑠璃は驚いてグラスに目を落とした。

「え…このカクテルの名前が?」
「そう。アルコールが飲めない女の子でもパーティーを楽しめるようにって、バーテンダーが作った…魔法かな?」

へえと感心するとともに、一生の醸し出す、紳士的でロマンチックな雰囲気に、瑠璃は胸がドキドキした。

二人で美味しいディナーを味わいながら、他愛もない話をする。

キャンドルの揺れる灯りに照らさせた、一生のうつむき加減の顔に、瑠璃はうっとりと見とれた。

長いまつ毛、そしてふと顔を上げてこちらを見た時の深い目の色と輝き。

まるで魔法にかけられたように、瑠璃は終始夢見心地だった。