魔法のいらないシンデレラ【書籍化】

「まあ!これは…」

ダイニングテーブルの上には、豪華な食事が並べられていた。

気づくと部屋の照明も落とされていて、大きなキャンドルの灯りがテーブルを照らしている。

「どうぞ」

一生が椅子を引き、瑠璃はドレスのスカートを摘んでゆっくり座った。

向かい側の席に一生も腰を下ろす。

まだ事態が飲み込めず、ボーッとしてしまう瑠璃に、一生は、乾杯しましょうとグラスを上げる。

瑠璃は、目の前に置かれたきれいな色のカクテルグラスを手にする。

透き通るようなオレンジ色。

どんなカクテルなのかな?と思っていると、一生がクスッと笑う。