朝7時。スマホの着信が鳴って、俺は目を覚ました。最初はその電話を切って二度寝しようかと思ったが、その電話が叶汰からであることに気がつくと、俺は飛び起きて電話に出た。この時間に電話だなんて、なんだかものすごく嫌な予感がした。
「もしもし、どうした」
「真結が…真結が一人で歩けなくなった…」
俺の頭からさっと血の気が引いた。
「まじかよ…」
俺は叶汰との電話を切ると、すぐに身支度をした。
「母さん、俺ちょっと出かけてくる」
「朝ご飯は?」
「帰ってきたら食べる」
「ちょっとあんた鏡見た?寝癖が、」
「今そんなこと気にしてる暇ないから」
俺は家を飛び出した。
先週、叶汰から真結さんの病状の悪化は聞いていた。だから、予測出来る事態ではあったけど、こんなにすぐに体に影響が出てしまうなんて…だとしたら、彼女の死は…
いや、悪いことは考えるのをやめよう。
俺はただひたすらに彼女を思って行路を走った。