お義父さまが笑顔で声を掛けてくれて、知らずに強張っていた体から力が抜けた。 「今日は私たちだけだからね。寛いでいってくれ」 「依里、行こう」 「はいっ」 晴人さんの差し出された手を取り、家の中に入る。 「おかえりなさいませ。若奥様、坊ちゃま」 「お久しぶりです、槇野さん」 「だから、坊ちゃまはやめろ」 「ふふっ」 いつものやり取りに笑みを零し、この先、笑顔で過ごす時間が多いといいなと願った。