「晴人っ、待ちくたびれたわっ」

「準備に手間取りましてね」

「あら、晴人が依里ちゃんを独り占めしてただけじゃないの?」

「さぁ、どうでしょうね」

晴人さんはお義母さまと少し話した後、車のドアを開けてくれる。

そっと手を差し出して、降りるのを手伝ってくれる。

「…依里ちゃん、それ」

「素敵な着物、ありがとうございます」