「ど、どうでしょうか」 着物を着た妻を見て、思わず口に手を当てて惚けてしまった。 母さんが輿入れの時に用意されたという、桜が散らされた着物。 髪は丁寧に編み込まれ、かんざしを挿している。 ピンクのチークに、赤い口紅。 「美しい…」 「晴人さん?」 本当なら今すぐにでも抱きしめて寝室に連れ込みたいが、 そうなったら母さんがうるさいので、仕方なく実家に向かうことにする。