でも、母さんの場合は生まれた時から蝶よ花よと育てられたので、

今の生活も窮屈とは思わないだろうが、

依里の場合は、少し生活環境は特殊だったとはいえ、大学生になってからは自由に暮らしていたのだ。


ようやく二人から抜け出したというのに、俺がまた縛るのは…。

「そういえば依里ちゃん。会社にはもう勤めないの?」

「そう…、ですね。今の所は考えてないです」

「なら、わたくしたちと暮らさない?

花嫁修業もできるし、いずれ二人にはここに暮らしてもらうことになるから、今のうちに慣れておけば…」

「母さん、勝手に話を勧めないでください。

今はまだ、依里と二人きりの生活を満喫したいので」