「まぁ、本当に可愛らしいお嬢さんだこと」 「は、初めましてっ、竹中依里と申しますっ」 晴人さんのご両親は、わざわざ座っていたソファから立ち上がって出迎えてくれる。 私は晴人さんと繋いでいた手を離し、二人に向かって勢いよく頭を下げる。 「そう緊張なさらないでね。わたくしたち、依里さんみたいに素敵な義娘が出来て本当に嬉しいの」 「そうですよ。晴人、依里さんに私たち家族も歓迎していると言わなかったのか?」 「ちゃんと言っていましたよ。でも、依里は…」 家族にいい思い出がないから。