朝なけに

◇


「苦しい…」


「あれだけ食ったらな」


店を出て、満腹に苦しむ私に中さんは呆れている。
お腹を手で押さえながら少しずつ歩き出す。


「だって美味しいし、食べ放題なら食べないと損ですよね?」


「だからって。食いすぎだろ?」


あのお皿の上の大量のピザを食べた後、二回程またピザを取りに行った。


「でも、フルーツのピザはお腹いっぱいでもなんでか食べられました」


フルーツとカスタードクリームの載ったピザ。
とても甘くて美味しかった。



「そっか」


「中さん、本当にご馳走さまでした。
いい思い出が出来ました」


先程のピザ屋での代金は、中さんが支払ってくれた。
奢って貰っていいのかな?と思いながらも、ご馳走になった。


「は?思い出作るなら、これからだろ?
次、何処行く?」


そう言われ、考えてみる。
デートってどういう所に行くのだろうか?


「少し待って下さい!」


そう断り、スマホを取り出して検索してみる。
"デート""オススメの場所"


「…映画、とかどうでしょう?」


色々の候補から、それを選ぶ。
この都会の街なら、シネコンとかあるだろう。


「映画好きなのか?」


「好きでといえば好きですね。
地元に三年前大きなショッピングモールが出来て、そこに大きなシネコンが併設されていて、
よく友達と映画を観に行ってました」


「そっか。お前食いすぎで苦しそうだし、休憩がてら映画行くか?
ちょうどそこのビルの上の方がシネコンだから」


中さんの目線の先の大きなビルを見る。
このビルに映画館があるのか…。