朝なけに

着替え迄済ませると、リビングへと戻る。
中さんは変わらずテレビをボーと観ている。
低血圧なのだろうか?


「中さん、私、帰りますね?」


「ああ。その前にちょっとこっち来いよ」


中さんは、寝転んでいた体を起こす。


「あ、はい」


なんとなく何をされるのか分かるし、それを期待してしまう。
中さんに腕が当たるくらい引っ付いて、隣に座った。
すると、直ぐに両手で抱きしめられた。


「気を付けて帰れよ」


「…はい」


中さんの胸辺りに、私の顔がギュッと押し付けられている。


「次来る時は、もう少し早く連絡して来い」


そういえば、夕べは急に会いたいって連絡したもんな。


「次、いつ来ていいですか?」


「俺が暇なら、いつでも構わない」


そう言われても、中さんがいつ暇だなんて分からない。


「じゃあ、今夜とかどうです?」


「は?今夜?」


流石に、3日連続はダメだろうか?


「分かった。今夜な」


そう頭上から聞こえて、え、と顔を上げてしまう。


「別に暇なら、来ても構わない。
お前、居ても特に邪魔になんねぇし。
寝る時の抱き枕としてちょうどいいから」


抱き枕…。
そんなに、私は抱き心地が良いのだろうか?


そして、きっと、今夜も中さんは私にキスや少し体を触ったりしても、それ以上はしないだろう。


「じゃあ、今夜も千里さんのお店から直接来ますね?」


という事は、大学が終わったら、一度自宅に戻らないと。
着替えもそうだけど、色々と泊まる用意を持って行かないと。


「だから、千里の店は行かなくても…って、まあ、いいや。
お前、めんどくさい」


ため息を吐いた後、なんだか楽しそうに笑っている。
そうやって中さんが楽しそうだと、私も楽しい気持ちになった。