朝なけに

「あ、でも、私達はまだ二十歳になってないので、お酒は飲んでませんよ」


私と萌香は高校を卒業し、大学一年生になってまだ1ヶ月程。
中さんが来て泣き止んだ萌香も、私の言葉に頷いている。


「君らが飲んでなくても…」


木下さんは、言葉に詰まっている。


「つーか、本当にドンペリか?
聞いた話だと、適当なボトルをドンペリって事にして出してるみたいじゃねぇか?」


中さんの言葉に、すみませんでした、と木下さんは言う。


「最近、うちの店、ちょっと金銭的に厳しくて。
でも、今までこうやってハメた女の子に紹介した店も、風俗とかじゃなく、ガールズバーやキャバクラとかで…」


すみませんでした、と木下さんは何度も謝った。


「――ったく。
次はねぇから」


中さんは、呆れたように舌を打つ。


「あれれ、中君?現場押さえて半殺しにするって言ってたのに。
丸くなったねぇ」


「あ?」


「久しぶりに、血が見れると思ったのに」


これまた、スタイル良し顔良しの男性が、店の奥からこちらへと歩いて来た。
そして、中さんに近付いて行く。


中さんがアイドルなら、この人はモデルみたいだな?


身長は中さんと同じく180センチ以上ありそうで、中さんよりもさらに細くて。
髪の色は派手で、服装も派手。