「そういえば、幼馴染みと付き合ってたとか、前に言ってたな。
けっこう長く付き合ってたのに、ヤッてねぇとか。
家族とかなんとか」


「はい。
今も文人とは仲良しで、本当に男と女って感じじゃなくて」


元彼の話を中さんにした時に、その元彼である文人の事は少し話していたな。



「ヤッてねぇなら、構わない」


「え?」


「この先もそいつとヤらねぇんだろ?
なら、問題ない」


「はい…」


そっか。
やはり肉体的な関係があるかどうかって、わりと重要なんだろうな。


「もしお前がそいつと浮気するなら、別れるだけだ」


「浮気なんて絶対しませんよ!」


文人だけじゃなく、中さん以外の男性となんてあり得ない!


「葵衣、俺はお前が好きだ」

「え…」


唐突の告白に、嬉しすぎて涙が込み上げて来る。
中さんの顔が近付いて来て、目を閉じると涙がスーと流れ落ちた。


中さんの唇が、私の唇に重なる。
初めて中さんとキスするわけではないけど、付き合ってからの初めてのキスで。
初めてのキスのように、特別に感じた。


中さんは唇をそっと離すと、私をソファーにゆっくりと押し倒して行く。


「ずっと一緒に居ような」


中さんはその台詞と共に、私に再び唇を重て来る。


唇が塞がれていて返事が出来ないから、それに応えるように私の上に居る中さんの背に両手を回した。


中さんと、ずっと一緒に居たい。