朝なけに

「あの時、お前にそうやって言われて、俺は嬉しかった。
だから、お前とまた会いたいって思った」


「中さん…」


なんだか嬉しいのか感動なのか、
涙が浮かんで来て言葉が出ない。


「お前には、色々文句言いたい事もあんだけど…。
とりあえず、俺と付き合うのか付き合わないのか、どうすんだよ？」


「そんなの、付き合うに決まってるじゃないですか！」


「だよな？」


中さんは、私の目から流れた涙を手で拭ってくれる。


「けど、真湖さんの事はもう好きじゃないんですか？」


だって、あんなにも好きだった女性なのに。


「俺の中でお前の存在の方が真湖よりも大きくて。
まだ、真湖の事はもう好きじゃないとは言いきれないけど。
葵衣と真湖、どちらか一人しか選べないなら、俺はお前を選びたい」


中さんは、私を選んでくれた。


「今一つ、俺はまだ誠実じゃないのは分かってるけど。
俺は絶対浮気しない。
それは、約束出来る」


「中さんが浮気しないの、なんとなく分かります」


きっとこの人は、そういう人だろう。