「わたしは、わたしはウオーレン様の婚約者じゃない……」
「うわあああっ! あなたが閣下の婚約者?」
「わおおおおっ! 両親が言っていた通りの人だ」

 叫び終わらない内に、軍服姿の二人に両脇をかためられていた。

 な、なんてすばやいの?

 もしかして、扉の向こうにわたしがいることを知っていた? それで待ち構えていたとか?

 だとすれば、さすがはウオーレンの部下ね。抜かりがないわ。

 出鼻をくじかれてしまった。

「えっ? い、いえ、わたしは……」

 このときになってやっと部下たちを見た。

 なんてこと。同世代くらいの美男子二人が、わたしを左右にはさんでいる。これには、さすがのわたしも動揺してしまった。

 ここのところずっと、年長のウオーレンと二人っきりだった。しかも、彼は表情がまったくわからない。なにせ、銀仮面をかぶっているのだから。

 だから、美男子な上に笑顔がキラキラしまくっている好青年たちは、わたしには刺激が強すぎる。