その間にポットやスプーンやサトウやミルクをトレーにのせ、執務室へと運んだ。

 ミルクは冷暗室に一本もなく、ゴミ缶に近いところに置いてあった。

 ウオーレンのことだから、しまい忘れたに違いない。

 念のため、ミルク容器の蓋を開けてにおいを嗅いでみた。でも、グズグズしまくっている鼻ではミルクのにおいは嗅げなかった。

 まぁ、いいか。

 そう片付けておいた。


 執務室に近づくにつれ、楽しそうな声がきこえてくる。

 マジメな話は終わったのかしら。

 扉の前に立ち、ノックをしようとした。

「閣下、水くさいですよ」
「そうですよ、閣下。どうして教えてくれなかったのですか? 今回の休暇が婚約者とイチャイチャする為だったなどと、皆が知ったら口惜しがります」

 が、ノブを握ったままかたまってしまった。

 そうだったわ。泣いてしまったことですっかりぶっ飛んでしまったけれど、ウオーレンがあらゆるところで大嘘をついたことにたいしてめちゃくちゃ腹を立てていたのだった。

 いままさに、昨日の問いが再現されている。